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“M”ethodology Service

2024/3/25更新 E系BMWやR系MINIのコンピュータ(DME/ECU)に関する書き換え(チューニング)、修理のDIYサポートをしています。ディーラーさんや、チューニングショップ、整備工場さんでは出来ないこと/やらないことを中心にサポートしています。 対処方法の調査、DMEや走行ログデータの解析/可視化/分析、問題解決に向けた方法論(Methodology)の提案、実際に手を動かす試行錯誤など、時間がかる割にお金にならないことをサポートしています。 リミッター解除などのちょっとしたチューニングや、チェックランプひとつで高額請求されてしまうような問題の原因特定や調整を、DIY支援という形によってオーナーさん自身にも一緒に考えてもらったり手を動かしてもらうことで、相場の半額以下を実現しています。 サポート範囲は日本全国です。(リモートでオーナーさんのPCや、こちらからお送りするセッティング済みPCの操作によって対応します。出張費をいただければ日本全国出張致します。) ※表示価格は全て消費税込み(10%)の価格です。価格やサービス内容は予告なく変更する場合がありますのでご了承ください。 サービスメニュー BMW/MINI DMEチューニング・カスタマイズ支援サービス E46M3 DMEチューニング・カスタマイズ支援サービス R50/R52/R53 MINI DMEチューニング・カスタマイズ支援サービス モジュールリプログラミング(コーディング)サービス 取り外し部品の買取・修理・販売サービス(準備中) 愛車の引き継ぎサービス(準備中) 生産中止パーツの設計・製造委託代行サービス(準備中) 山梨県北杜市白州町の特産品・スポット・お食事処紹介サービス(準備中) オーダー 無料相談 プロが解決できないお悩みをご相談ください。 ショップにチューニングしてもらが、効果が出ているのかいまいち信じら

E46M3 CSLスタイルカーボンエアボックスに交換する場合に考慮が必要なこと3 | 最終


2000〜3000rpmの乗りにくさが、ベースマップのチューニングによってやっと解消できたので、そのアプローチをシェアしたいと思います。

データロガーで相対吸気率とエンジン回転数、ナローバンドO2センサーのラムダの値を15分ほど取ります。そのデータを燃料噴射のベースマップと同じ軸でラムダの平均値をとり、ベースマップの現在の値に掛けとうまく調整されます。

するとアクセル踏み始めの燃料が濃かった状況が改善され、十分なトルク感が得られるようになりました。カーボニアスのシュノーケルノズルもその他の追加ダクトも不要になりました。

NA M3 Forumsで、素晴らしい方達が示して下さった方法を試して上手くいきました。

ここまでかなり長い道のりでした..走って悩んで、調べて走って悩んで、調整して走って調べて悩んで..

NA M3 Forumsで道を示して下さった方たちには感謝しかありません。


目次

ずっと悩みだった中間領域のドライバビリティ

2000〜3000rpmの中間領域の乗りにくさをもう少し具体的に表現すると

  • トルク感の不足
  • アクセル踏み込んでも詰まったように回転が上がらない
  • シフトアップした時のジャーキング

でした。

これらの症状から、シュノーケルノズルが無いことで以下ような補正制御のバランスが崩れたんだろうなと予想していました。

  • アンチジャーキング制御
  • エンジン慣性重量定数
  • シフトアップ制御

これらのマップを眺めたり、いじったり、走ってまたいじって、エンジンの反応を感じてエンジニアならどう制御するかなど、想像を膨らませながら調整してを繰り返しても改善できずにいました。


実走ログをもとに燃料噴射ベースマップを調整

DMEチューニングといえば、オープンループマップをシャシーダイナモに載せて調整するというのがよく目にする方法です。

今回のチューニング方法は、実走ログをもとにクローズドループマップ(ベースマップ)を調整する方法です。

クローズドループは、ナローバンドO2センサーの値(ラムダ1=理論空燃比14.7)を目標に燃料調整されるため、ベースマップの調整は基本的には不要だというのがこれまでの定説だったようです。

  • ナローバンドO2センサー:理論空燃比に対して濃いか薄いかの出力をDMEに送るセンサー。コスト的にも安く純正採用されることが多い。
  • ワイドバンドO2センサー:現在の空燃比を正確にDMEに送るセンサー。主にアフターマーケット向けだったが、最近では純正採用されている。


しかし、例えばアクセルを抜いて蛇行している状態(O2センサーのフィードバックがない状態)から、初めてアクセルを踏み始めたタイミングは何を基準に燃料噴射するんだ?と疑問がありました。

この始めの一発目の燃料噴射量を決めるのが、ベースマップの役割だったようです。

現車セッティングといえば、ワイドバンドO2センサーをつけて空燃比をモニタリングしながらオープンフープマップを調整する方法が一般的ですが、今回のチューニング方法はナローバンドO2センサーのみで十分対応できるセッティン方法でした。


トルク感は雲泥の差

標準M3の低回転トルクが戻ってきた感じで不満がなくなりました。街乗りも十分です。

軽自動車に負けることはありませんし、上り坂を登ってもギアを4速ホールドでも普通車を追い越せるくらいトルク感が回復しました。

なのに回せば快音を響かせてくれて、超気持ちいいのは変わりありません。

CSL含むカーボンサージタンク仕様で、フラップを除去した場合の持病であるゼロスタート時の息継ぎも概ね解消されます。


チューニングのポイント

使うツールや手順は、NA M3 Formsにこれ以上ないってくらい丁寧に書かれていますので割愛します。

ここでは、実際に自分でチューニングしてみて感じた、チューニングのポイントを残しておきたいと思います。


方法論を理解する

このチューニングで最も重要な理解は、走行ログをCSL用のベースマップと同じ解像度で取得し、フィルタリングしてテーブル形式に整理することです。



CSL用ベースマップと同じ解像度というのは、縦軸が相対吸気率(%)、横軸がエンジン回転数(rpm)、交点がO2センサー(ラムダ)の平均値でデータを集計するということです。

CSL用ベースマップの相対吸気率とエンジン回転数の交点は燃料噴射係数ですので、この係数に走行ログで平均を取ったラムダ=調整係数を掛けるだけで調整が取れてしまうのです。

なぜ濃いか薄いかの出力しかしないナローバンドO2センサーで良いかというと、燃料が濃かった回数と薄かった回数の平均を取ることで、どっち寄りかの係数を求める事ができるからです。

実際のO2センサーの挙動を見ていると、燃調が取れていれば上振れ下振れの波形がバランス良くていい感じに一定です。平均すると1になるはずですので、この状態だと燃料調整が取れているということになります。


一方で、O2センサーの挙動が上振れすることが多ければ、燃料が薄い傾向たにあり、下振れすることが多ければ燃料が濃いことになります。


走行ログの量が少なすぎると、極端に調整量が増えて危険ではないか?と心配になってしまうかもしれませんが、しかし、実際のラムダは1.2から0.8なので平均を取った係数を掛けても、ベースマップの燃料噴射量を極端に濃くしてしまったり、薄くしてしまったりということはありません。

ですが、データ量が多いほど係数の精度が高まることには変わりないので、なるべく長く走行ログを取ります。

ガイドでは走行ログは15分以上が推奨されていますが、15分とは言わずデータ取得量が多ければ多いほど良いと思います。僕が実際やってみた感覚では1セッション30分から1時間が良いかなと思いました。

ちなみに、セッティング用の走行ログで最低限必要な4点(相対空気量、エンジン回転数、ラムダ1、ラムダ2)を取ると、データ取得間隔は0.3秒から0.6秒になります。これに性能評価の為に速度とスロットルポジションを追加すると0.8秒前後になってしまい、かなり荒いというかデータを取れるチャンスが失われてしまいます。


走行ログ計画を立てる

実際に走行ログを取ってみると、自分が良く使う中間領域のデータが取れます。悪い言い方をすると走る道や自分の運転の仕方によってデータが偏ります。

街乗り、高速、峠道などで取れるデータ領域が偏ります。

欲しいのは、アクセルを踏み込んだ瞬間のフィードバックなしの時のラムダですので、まずはデータをとってみた後データをよく観察し、走る道や走り方の戦略を立てると良いと思います。

NA M3Formsではまぁ5回くらいやればいいんじゃない?的な感覚で説明されています。


CSLベースマップとAlpha-Nマップは別物

Alpha-Nという言葉の意味が理解されず、このチューンが必要だという認識だけが一人歩きしてますので、意味をはっきりさせておきたいと思います。

CSL用のベースマップは縦軸が相対空気率(%)に対して、Alpha-Nの縦軸はスロットル開度(%)です。横軸はエンジン回転数で共通です。

相対空気率は、理論最大空気密度に対してDMEがMAP(マニホールド空気圧)センサーやIAT(吸気温度)センサー、スロットル開度などの値から計算された実質空気密度の割合です。

気圧と温度が空気の密度にどれほど影響を及ぼすかは高校化学を思い出していただければ想像できるはずです。

わかりやすいように、相対空気率(赤い線)とスロットル開度(白い線)を同時に走行ログをとって時系列で比較してみました。


相対空気率は各センサーの値をもとにDMEがリアルタイムで計算していますので、各センサーのスケーリング(入力電圧に対する温度や圧力のマッピング)が間違うと、燃料噴射量も間違ってしまいます。なのでセンサー選びは慎重に。また、センサー電圧に対する実際の温度や圧力をDMEにセットアップするのを忘れずに。


チューニングのスタート地点

どこをどう弄れば車がどう変わるか、納得できるレベルでコントロールできるようになったところでやっとスタート地点に立てたのだと思います。

チューニングの世界は落とし所はあっても終わりはないというのは誰もが想像できることだと思います。

僕もこの先M3の楽しみ方が変わってくると思いますので、その時心地よい状態にチューニングしていきたいなと考えています。


CSLスタイルカーボンエアボックスのオーダー

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MTかSMGか、マットかグロスか、純正部品を使うかアフター品を使うかカスタマイズオーダーができますので、Turnerのキットを購入するより費用を下げることができます。

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